法学入門の「にゅ」(第3回:「法律一般②」~法学部生は普段なにを学んでいるのか~)
*1:法律学とは,
*2:このように,
*4:この作業をするに際して,
*5:
*6:④
*7:
*8:
*9:売主は倍額を償還するとありますが,
*10:民法557条は,なぜ,手付分の代償を払えば解除できるという価値判断を採用したのでしょうか。法律は社会をよりよくするための手段であることは前述しました。もちろん,民法も法律です。そこで,民法は社会をよりよくするために,①人々の公平を図りつつ,②人々の経済活動を活発にさせることを念頭に規定されています。民法557条の根底にある価値判断は,「いったん契約をした以上は,原則としてこれを守らなければならないが,当事者間で手付が交付された場合には,当事者がその契約よりも好条件な契約を見つけたときは,例外的に,解除をし,より好条件の契約を結ぶことができる制度を設けることで,人々がよりよい契約を求めて活発に経済活動をするよう促すこと」にあると考えられます。
*11:
*12:先に上げた通り,解釈手法には種々の手法がありますが,
*13:CさんがこのままDさんとの契約を無視してしまうと甲土地代を支
*14:最高最判所昭和40年11月24日大法廷判決民集19巻8号20
*15:
*16:
*17:例えば,
*18:
*19:Cさんの相手方は,
*20:なお,
法学入門の「にゅ」(第2回:「憲法」~改憲の是非について考えるための基礎として~)
*2:一般的な憲法の教科書では,はじめに,憲法には形式的意義の憲法・実質的意義の憲法…etc. と憲法の分類を示すのが通例ですが,この辺りは今回の連載の趣旨に合わないため割愛致します。
*3:例えば,前回既に述べましたが,国会の賛成多数によって成立した法律が少数者の基本的人権を侵害する場合,その法律はその限りで無効となります。また,内閣(行政権)・裁判所(司法権)のした行為が憲法に反するときも,同様に無効となります。憲法98条1項は,「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」として,このことを明らかにしています。
*4:この答えのヒントは,前回の記事の最後にちょっことだけ書きました。国会の賛成多数によって「みんなで決めた」ものとみなされることで価値判断(道徳)は法律化し,少数派の人達も含めて国民全員がその価値判断に強制されるのでした。ただ,前回は,なぜ,民主主義は絶対主義なのか,すなわち,少数派の人達は反対しているのに,多数派の人達の賛成によって「みんなで決めた」とみなされるのか,その理由については述べていません。その理由とは,本来であれば,国民全員一致の賛成によって法律が成立することが理想なのですが,これは不可能だからと考えられています(例えば,消費税増税法案について考えると,増税について賛成する人もいれば,反対する人もいることを想像してください。)。いわば,民主主義は次善の策なのです。ですから,多数派の人は,多数派の人達の価値判断を,少数派の人達を虐げてでまでも強制することが可能となってしまいます。これは非常におそろしいことです。そこで,民主主義の代償として,少数派の人達の「個人としての尊厳」を守るため,たとえ多数派の人達ですら少数派の人達を虐げることができないという絶対的な領域を設定し,これを保護することとしたのです。この絶対的な保護領域について規定しているのが,憲法における基本的人権についての規定です(もしろん,多数派の人達にも基本的人権は保障されています)。これは憲法の「現代的な意義」であるといえます。憲法の「歴史的な意義」については後述します。
*5:私は歴史の知識がありません。悪しからず(土下座)
*6:尾田栄一郎著の,ひとつなぎの大秘宝(ONE PIECE)をめぐる海洋冒険ロマンである(ど〜ん)。
*7:ONE PIECE16巻138話「頂上」参照。
*8:これは,ナミとサンジが法律に違反しているか,すなわち,ナミとサンジがワポルを無視しているかどうかを判断する権力の行使であるから,司法権の行使にあたります。
*9:これは,ワポルが司法権を行使し,ナミとサンジは惨殺と判断したため,その「執行を」部下に命じているといえるから,行政権の行使にあたります。
*10:前述のように,この2つは,後の憲法の内容の基礎となるものです。
*12:ただ,憲法が作られたから直ぐに皆ハッピーになれたかというとそうではなく,ブルジョワジーの台頭・夜警国家から福祉国家へ,という流れを経て現在に至ることとなります。もちろん現在の国家体制で皆ハッピーかといえばそうではなく,この先は私達が考えていかなければならない重大な課題です。私達もまた,歴史の中にいるのです。
*13:このように,改憲要件が立法要件よりも厳しい憲法を「硬性憲法」といいます。
*14:このように,改憲要件と立法要件が同じである憲法を「軟性憲法」といいます。
*15:定足数については,大事なのですが,省略します。
*16:憲法59条1項は,「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。」と,憲法56条2項は,「両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。」と規定しています。なお,衆議院の優越というものもあります(憲法59条2項参照)。
【まったり連投開始】法学入門の「にゅ」(第1回:「法律一般①」~法律とは何者なのか~)
*1:念のため注記いたしますと,私は記事を書くにあたって入念にウラをとっている訳ではございませんので,内容に誤りもあるかと思います。そのあたりはご容赦願います。
*2:法律に抗うと裁判にお金がかかったり,下手をすると刑罰を課されるおそれがあるからです。
*3:今回は,あえて憲法76条3項に中略を設けました。なぜなら,憲法76条3項から私が省略した部分には「良心に従ひ独立してその職権を行ひ」とあり,なんだ道徳にも従うんじゃないか!,と誤解されてしまいそうだと判断したからです。ここにいう「良心」とは,裁判官という役職に就く者として通常期待されるものを指します。決して各裁判官の自由な道徳心に判決を委ねる趣旨ではありません。
*4:一般的な教科書は,憲法76条3項は,司法権・裁判官の独立を定めた条文であると説明しています。「(この憲法及び法律)にのみ拘束される」と書かれているということは,他の国家権力(立法権や行政権,上司の裁判官)・他の社会的勢力(マスコミなど)の影響力を受けることなく,中立公正に裁判をすべきことを裁判官に要求していると考えられるからです。私は,各裁判官がそれぞれ自己の道徳心に拘束されて,それに従い裁判をしてしまうと,既に述べたとおり判断がバラバラに分かれ,結局,中立公正な裁判は実現できなくなるため,本文で述べたような憲法76条3項の説明も,一般的な教科書の説明と矛盾するものではなく,元を辿れば同じ考え方に由来するものである,と自分なりには考えています。
*5:ここまで,強制力という言葉を用いてきましたが,ある人が,法律に違反してまででも行動した方が得だと判断することもあるので,強制力には一定の限界があります。ただ,これも法律が,「このように法律に従わない者がいてもよい」というある種の価値判断をしているともいえます。
*6:ここまで,道徳と法律を区別して書いてきましたが,実際その区別はあいまいになっています。例えば,民法1条2項は,「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と規定しています。ある価値判断を法律化するためには,明確性が必要であることは既に述べましたが,この民法1条2項は,明確な基準を提供しているとはいえません。このいうな条文を「一般条項」といいます。一般条項は法律の不備を補う機能があります。法律は明確性を持っているがゆえに,あらゆる事例をカバーするように規定することができません。そこで一般条項が法律の抜け道を塞ぐのです。このように,一般条項は,個別の明確な条文によってはカバーしきれなかったときにその真価を発揮するものであるため,いわば最後の砦です。これは,法律が道徳を取り込む契機があることを意味しています。一般条項を多用し過ぎてしまうと,裁判官の道徳が強制力を持ってしまうこととなり非常に危険です。
*7:例えば,先の【状況】における私のように,若者にも健康な人もいればそうでない人もおり,お年寄りに席を譲るべきとは一概にはいえないと考える人もいることを想像してみてください。